失 楽 園




霧がかかったかのように
ぼんやりとする頭をハッキリさせる為、
僕が洗面所で顔を洗っていたら、
急に背中に熱を感じた。

 その熱の原因は、姉さん。

一晩中彼女の熱を感じていたのだ。
それくらい、すぐにわかった。


「…どうしたの? 姉さん」

「…恭ちゃん…」


呼び名が恭夜から恭ちゃんに戻っていた。
それに少しショックを受けるが、
僕はタオルで顔を拭いてから
姉さんを振り返った。


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