失 楽 園
ひくひくとしゃくりあげるせいで、
何を言っているのかも
いまいちわからない。
姉さんの大きな瞳から溢れる
大粒の涙を舌で舐め取ってやり、
姉さんの小さくて華奢な背中を
優しく撫でてやった。
「恭ちゃん……ごめ、ん……なさ……っ」
『ごめんなさい』
今度は理解出来た言葉に、胸が詰まる。
「…なんで? どうして謝るの、姉さん」
「だって、だって……あ、あたっ……し……」
姉さん。
身体を繋げた今でも、
姉さんのことを全部
わかってあげられないことが苦しい。
姉さんのことは
全て
わかってあげたいのに。