失 楽 園
姉さんは僕の腕の中で
嗚咽を漏らしながら、
ひたすら謝り続ける。
「姉さん、言ってくれなきゃ、
わからないよ」
「ごめん、なさ……い……。
っごめんな……さ……っ」
「姉さん」
ぎゅう、と
僕のシャツを掴む姉さんの手に、
力がこもる。
「私……恭ちゃん、の……
ぜんぶうばっちゃったよ……!」
「姉さん……?」
「父さん、も……母さんも……っ!
恭ちゃんの、未来まで、
ぜんぶ……っ!!」
頭に血が昇って、
僕は姉さんの骨が軋む程に
姉さんを強く抱き締めた。
「そんなものいらない!!」