臆病者達のボクシング奮闘記(第一話)
「あれ、私の人違いだっけ?」

 笑いながら話す綾香に、健太は慌てて答える。

「い、いや……そんな事ないよ。同じクラスだよ」


 康平は健太がトイレに行っている間、亜樹から綾香を紹介されている。

 彼女の名前を聞いた時、健太が気になっているコだとすぐに気付いたが、彼は素知らぬ顔を演じていた。


 綾香は茶色が目立つクリッとした瞳で、ワイシャツと変わらない位肌の色が白い。ハーフだと言われれば、納得してしまいそうな感じである。

 ヘアスタイルはショートボブだ。


 亜樹が綾香に言った。

「綾香には悪いけど、私達一時間近く勉強したからロビーで休憩したいんだけど、……いいかな?」

「私も賛成だよ! 部活終わって御飯食べた後だから、少し休みたい気分なんだ」

「俺達も勉強の休憩だったら大賛成だよ。なぁ健太!」

「……あぁ、そうだな」

「健太君はともかく、君は頑張っててもいいよ」

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