臆病者達のボクシング奮闘記(第一話)
 帰りの電車で康平が口を開く。

「まさか、お前の気になってるコが来るなんてな」

「それもビックリしたけど、亜樹って外見と違って結構いい奴なんだな」

「そうかぁ? 俺にはキツイぜ」

「それはお前に心を開いてる……だったら、それはそれで大変そうだな」

 康平が故意に話題を変えた。

「それはそうと、明日十時であの図書館に行くけどお前も来るんだろ?」

「明日は辞めとくよ。またお前らに気を遣わせそうだしな」

「あの内海も来っかもよ」

「またテンパるだろうからいいよ。……お前がフォローしてくれるのは嬉しかったけど、康平に続けて借りを作りたくねぇしな」

「何の事だか分かんねぇけど、明日図書館に着いたら、健太は用事で来れないって伝えとくよ」

「亜樹も、俺が部外者にならないように気を遣ってたからな。あ、この事は言うなよ」

「言わねぇよ! 『誰と誰の部外者よ』って、俺が攻撃されそうだしな」

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