臆病者達のボクシング奮闘記(第一話)
「後ろに目があるなんて事は無いけど、君が眠ってる時は分かっちゃうのよね。……康平ってノートに字を書く時、強く押し付けて書くから音が聞こえちゃうのよ」
「すると、その音が聞こえない時は俺が眠ってるって事か?」
「……それだけじゃないよ」
「他に何かあるのかよ?」
康平に訊かれた亜樹は小さく笑った。
「字を書く音が聞こえない代わりに、気持ち良さそうな寝息が後ろから聞こえてくるんだよね」
亜樹は話を続けた。
「付箋はねぇ、……後で君が慌てるのを見たい気持ちもあったけど、日頃イジらせて貰ってるから、やっぱり助けてあげようと思って貼ってたんだ」
「いや、ホント助かったよ。アリガトな」
「……何言ってんの、今日の勉強はまだ続くんだからね。これから君の大好きな数学をやるよ」
亜樹は照れを隠すように、急いで学習机に戻っていった。
「すると、その音が聞こえない時は俺が眠ってるって事か?」
「……それだけじゃないよ」
「他に何かあるのかよ?」
康平に訊かれた亜樹は小さく笑った。
「字を書く音が聞こえない代わりに、気持ち良さそうな寝息が後ろから聞こえてくるんだよね」
亜樹は話を続けた。
「付箋はねぇ、……後で君が慌てるのを見たい気持ちもあったけど、日頃イジらせて貰ってるから、やっぱり助けてあげようと思って貼ってたんだ」
「いや、ホント助かったよ。アリガトな」
「……何言ってんの、今日の勉強はまだ続くんだからね。これから君の大好きな数学をやるよ」
亜樹は照れを隠すように、急いで学習机に戻っていった。