臆病者達のボクシング奮闘記(第一話)
「何処まで話していいのかなぁ。……康平君は、亜樹がバスケ部を辞めた理由って知ってるの?」

「レギュラー争いしてた先輩の嫌がらせだろ?」

「……康平君を信用して話すけど、亜樹とレギュラー争いしてた先輩は、そんなに仲が悪くなかったの」

「え?」

「その先輩と付き合ってた彼がいて、その人が私にしつこく電話してきたりしてたんだ」

「マジで」

「私どうしたらいいか分かんなくて、思い切って先輩に相談したのよ」

「どうなったの?」

「逆に私が先輩の嫌がらせを受けるようになってしまったのよ」

 康平は黙って聞いていた。

「でも、私と亜樹はその頃から仲良くなってたんだ。亜樹は私の味方をしてくれて、先輩には正面から文句言ったのよ。そしてその彼氏にはビンタまでしちゃったのよね」

「……凄いね」

「その後亜樹は、先輩達から嫌がらせを受けて退部届けを出したんだけど、同じ学年では一番上手かったんだ」

「へぇー」

「私と亜樹は、それ以来親友の仲なのよ」

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