臆病者達のボクシング奮闘記(第一話)
「…………」

 沈黙する康平達に、飯島が再び口を開いた。

「そうだよな、先生のお陰でテスト期間中も部活が出来るんだから、感謝はあっても恨みはないもんな」


 すると健太がサンドバッグに右フックを打ち始めた。他の三人も釣られて左フックを力一杯叩く。

 梅田は、苦笑しながらその様子を見ていた。


 その後は二人ずつ交代でミット打ちをした。

 ミットを持った二人の先生は、サンドバッグではフックを振り切れないので、打ち終わりのフォームを確認していた。

 ガードが甘かったり、顔の向きが悪かったりすると、梅田と飯島は、すかさずミットで攻撃をした。


 サンドバッグ打ちとミット打ちが終わった後、ストレートだけの形式練習を四ラウンドをした。

 梅田の話では、フックだけのバランスに偏らないようにする為らしい。
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