臆病者達のボクシング奮闘記(第一話)
今度は飯島が口を開いた。
「これからサンドバッグ打ちだがアッパーは打つなよ。手首を痛めるからな」
梅田が付け加える。
「ボディーブローは強く打てよ。意識するだけでいいが、顔面を狙うフックとボディーブローは同じ体勢から打て!」
「意識するだけでいい」
と自分から言っておきながら、三ラウンドを過ぎたあたりから梅田が怒鳴り始めた。
気が短い人から教わる人間は、本当に気の毒である。
「同じ姿勢から打てと、さっきから言ってるだろうが!」
梅田の怒号が響く。一年生達は、言ってる意味が変わっている事に気付いていた。
だが、理不尽大王に反抗できる一年生は誰もいない。
同じ体勢から打つのは意識どころではなく、いつしか死守すべき命令になっていた。
練習が終わると、梅田も反省したようで頭を掻きながら言った。
「まぁ、その……なんだ、俺も少し(?)気が短い所もあるから、今日のところは許せ。……お前らは怒られ易い顔をしているから、ボクシングは強くなるぞ」
「これからサンドバッグ打ちだがアッパーは打つなよ。手首を痛めるからな」
梅田が付け加える。
「ボディーブローは強く打てよ。意識するだけでいいが、顔面を狙うフックとボディーブローは同じ体勢から打て!」
「意識するだけでいい」
と自分から言っておきながら、三ラウンドを過ぎたあたりから梅田が怒鳴り始めた。
気が短い人から教わる人間は、本当に気の毒である。
「同じ姿勢から打てと、さっきから言ってるだろうが!」
梅田の怒号が響く。一年生達は、言ってる意味が変わっている事に気付いていた。
だが、理不尽大王に反抗できる一年生は誰もいない。
同じ体勢から打つのは意識どころではなく、いつしか死守すべき命令になっていた。
練習が終わると、梅田も反省したようで頭を掻きながら言った。
「まぁ、その……なんだ、俺も少し(?)気が短い所もあるから、今日のところは許せ。……お前らは怒られ易い顔をしているから、ボクシングは強くなるぞ」