臆病者達のボクシング奮闘記(第一話)
 続いて、色の黒い内海が口を開いた。

「先生! 俺達を色が白い黒いで紹介しないで下さいよ」


 梅田は、苦笑いをしながら言い返した。

「お前らにお世辞を言ってもしょうがねぇだろ。まあ許せ」

 梅田も卒業生には多少甘いようである。



 二人の見学者の前で練習する一年生達は、緊張しながら練習を始めた。

 飯島が笑って言った。

「二人はお前らが下手なのは知ってっから、そんなに硬くなんなよ」

 四人は少し緊張が解れたようで、練習メニューを進めていった。



 練習が終わり、梅田は見学していた二人に言った。

「こんな感じだが、来週からやれそうか?」


「まぁ、大丈夫だとは思います」

「何とかなると思います。でも俺達が一年の時より、上手いんじゃないッスか?」

 山本に続いて内海が言った。

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