臆病者達のボクシング奮闘記(第一話)
 帰り道、四人の一年生は駅に向かっていた。


 有馬が康平と健太に訊いた。

「明日は、やっと休みだけどよ。お前ら何か予定あんの?」

「特にねぇけど……康平、お前は?」

「……俺もないかな?」

「康平は、山口亜樹と図書館デートってか?」

「え? あ、いや」

 慌てる康平に有馬が笑った。

「お前らの事は健太から聞いてっぞ」

「デ、デートってわけじゃないけど……」


「カラカウつもりねぇから安心しろって。山口は、見た目よりいい奴なんだってなぁ」

 有馬が話を続けた。

「学年二位から教わると、やっぱ勉強もはかどるんか?」

「学年二位?」

「あれ、康平は何も知らねぇんだな。あいつ、中間と期末も二番だぜ」


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