臆病者達のボクシング奮闘記(第一話)
「やっと着いたぜ」

 有馬に言われて康平達は周囲を見回した。だがゲームセンターしい派手な建物は見当たらなかった。


「お前らどこ見てんだよ、あそこだ」

 二人が有馬の指差した方向を見ると、小さい看板に『ゲーム』とマジックで書かれている古い木造の家があった。


 中に入ってみると、昔の機械的な音のするゲームが十台あり、十円ゲームが三台で他の七台は三十円だった。


 そして、奥にはファミコンルームと襖にマジックで書かれた部屋があった。

 二畳のタタミの部屋にファミコンがあり、傍に『楽しんだ方はお気持ちを入れて下さい』と書かれたお賽銭箱がある。

 有馬の話によると、「ファミコンは、畳の上でやらなきゃいかん」というのが、オーナーのポリシーらしかった。


 また、貼り紙で『ランチメニュー』が書いてあり、醤油・味噌・塩ラーメンの三種類があってどれも百七十円だ。

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