臆病者達のボクシング奮闘記(第一話)
 金髪でサングラスをかけた男が康平に話し掛ける。

「タケは、真面目にボクシングやってんのか?」

「あ……あぁ、有馬も頑張ってるよ」


 続いて腕にタトゥーの入った男が健太に訊いた。

「ヘタレのコイツが、どこまで続くか賭けをしてたんだが、九月まで持ちそうなんだな?」

「今やっと練習が面白くなってきたから、俺達ずっと続けると思うけど……」


 タトゥーの男がワザとらしく嘆く。

「あーあ! タケ、お前の一人勝ちだな」


 別の男が康平達に説明をした。

「俺達、賭けをしてたんだよ。タケがいつ部活を辞めるかってな。タケ以外は、九月まで辞める方に賭けてたんだけどな」


 康平と健太は返答に困って沈黙した。


「あんまり余計な事言うなよな。それに、コイツらゲームしに来たんだからよ」

 有馬の一言で、それぞれテーブルについてゲームを始めた。

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