臆病者達のボクシング奮闘記(第一話)
 だが、康平と健太以外は三十円のゲーム台にしか座っていなかった。

 不思議に思って健太が言った。

「有馬、十円ゲームも楽しめそうだけど、何か問題あんの?」

「言ってなかったけど、十円ゲームには地雷があるからな」

「地雷?」


 金髪サングラスの男が笑いながら言った。

「やってしまうと逆にイラつくぜ。……まぁ十円を捨てるつもりで一回位はやっていいかもな」


 好奇心旺盛な健太が十円をゲーム機に入れた。

 昔流行ったシューティングゲームだった。

 三面目までクリアし、健太もエンジンがかかったらしく、気合いを入れ直した途端画面がプツッと消えてしまった。

 不思議な顔をした康平と健太に、タトゥーの男が話し掛ける。

「それなぁ、ある程度やると電源が落ちるんだよ。こんなゲーム機おいてるなんて、ヒデェ店だろ」


 オーナーが言い返した。

「うるさいねぇ。これでも十円以上は楽しませてやってんだからね」

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