臆病者達のボクシング奮闘記(第一話)
 有馬が康平と健太に言った。

「他の十円ゲームも同じだから気をつけろよ。……それに、ファミコンルームはもっと勧められねぇけどな」

「え、何で?」康平が訊いた。


「あそこにはロープレしかねぇんだよ。ロープレって、始めたら最低二時間はやるだろ? 終わった時、お賽銭箱に入れないと婆ちゃんのイヤミがあっからよ。相場は一時間百円だな」


「お前ら営業妨害甚だしいね」

「婆ちゃん、営業だったらゲーム機はちゃんと治そうぜ」

「たかが十円ゲームに修理代なんか払ってらんないよ」


 午後一時近くまでゲームを楽しんでいたが、有馬が康平達に話し掛ける。

「俺からゲームに誘っておいてなんだが、今から俺に付き合わないか?」

「どうしたんだ?」康平が言った。

「理由は後で話すからよ」

「ゲームはここにくれば出来るからな。……康平、有馬に付き合おうぜ」

「そうだな、有馬に付き合うよ」

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