臆病者達のボクシング奮闘記(第一話)
有馬が大きく深呼吸し、続けて話す。
「いいか! 今からイッキに話すからな。日曜日の白鳥は、午後二時まであのスーパーでタダで働いているんだ。それも自分からすすんでだぜ。いつもお世話になってる叔父さんに、少しでもお礼がしたいんだってさ。それに……!」
有馬の視線と表情が変わったので、康平と健太はそれに釣られて後ろを振り向くと、スーパーの服を着た五十代位の男がいた。眼鏡を掛けて穏やかそうな人だ。
「俺がその叔父さんだよ。……俺は手伝わなくていいって、翔(白鳥)に何度も言ったんだけどな。……確か君はボクシング部の有馬君だっけ?」
「あ、はい。前にお店でお会いしました。……今日はボクシング部の奴を連れてきたんです」
「そうかそうか、それでどっちが高田君と片桐君かな?」
康平は驚き、健太が訊いた。
「何で俺達の事を知ってるですか? あ……、俺が片桐ですけど」
「じゃあ、そっちが高田君だね。翔は俺の家でも大人しいコでな。まぁ遠慮してるのもあると思うが、ボクシング部の事だけは楽しそうに話すんだよ。……それで、会った事がない君達の名前を知ってしまった訳だ」
「いいか! 今からイッキに話すからな。日曜日の白鳥は、午後二時まであのスーパーでタダで働いているんだ。それも自分からすすんでだぜ。いつもお世話になってる叔父さんに、少しでもお礼がしたいんだってさ。それに……!」
有馬の視線と表情が変わったので、康平と健太はそれに釣られて後ろを振り向くと、スーパーの服を着た五十代位の男がいた。眼鏡を掛けて穏やかそうな人だ。
「俺がその叔父さんだよ。……俺は手伝わなくていいって、翔(白鳥)に何度も言ったんだけどな。……確か君はボクシング部の有馬君だっけ?」
「あ、はい。前にお店でお会いしました。……今日はボクシング部の奴を連れてきたんです」
「そうかそうか、それでどっちが高田君と片桐君かな?」
康平は驚き、健太が訊いた。
「何で俺達の事を知ってるですか? あ……、俺が片桐ですけど」
「じゃあ、そっちが高田君だね。翔は俺の家でも大人しいコでな。まぁ遠慮してるのもあると思うが、ボクシング部の事だけは楽しそうに話すんだよ。……それで、会った事がない君達の名前を知ってしまった訳だ」