臆病者達のボクシング奮闘記(第一話)
レベルが段違いに上の人間を見ると、ごく僅かの人を除き大抵はブルーになるものだ。
一年生達は残念ながら大抵の人間であり、まして今日から練習の相手をしてもらう予定だから、より不安な気持ちでシャドーボクシングをしていた。
四人の気持ちにはお構い無しに、ラウンドは進んでいく。
四ラウンドのシャドーボクシングが終わると、梅田が口を開いた。
「有馬、ヘッドギアとカップ、そしてマッピを付けてお前からリングに上がれ!」
山本は既にリングに上がっていて、肩を動かしながら中を歩いていた。
有馬は急いで準備をしてリングに入ろうとしたが、その際にロープの二段目に足を引っ掛けて転びそうになった。
緊張している有馬の心情を察して……、というより、笑う余裕のない一年生達は黙って見ていた。
ラウンド開始のブザーが鳴った。お互いパンチがないまま二十秒が経つ。
梅田の声が練習場に響く。
「どうした有馬、ビビってんじゃねぇぞ! パンチ出してみろ」
堪らず有馬は左ジャブを打つ。
しかし顎が上がり、反対の手はガードもせず下がりっぱなしだ。おまけに出したパンチは萎縮していて伸びていない。
一年生達は残念ながら大抵の人間であり、まして今日から練習の相手をしてもらう予定だから、より不安な気持ちでシャドーボクシングをしていた。
四人の気持ちにはお構い無しに、ラウンドは進んでいく。
四ラウンドのシャドーボクシングが終わると、梅田が口を開いた。
「有馬、ヘッドギアとカップ、そしてマッピを付けてお前からリングに上がれ!」
山本は既にリングに上がっていて、肩を動かしながら中を歩いていた。
有馬は急いで準備をしてリングに入ろうとしたが、その際にロープの二段目に足を引っ掛けて転びそうになった。
緊張している有馬の心情を察して……、というより、笑う余裕のない一年生達は黙って見ていた。
ラウンド開始のブザーが鳴った。お互いパンチがないまま二十秒が経つ。
梅田の声が練習場に響く。
「どうした有馬、ビビってんじゃねぇぞ! パンチ出してみろ」
堪らず有馬は左ジャブを打つ。
しかし顎が上がり、反対の手はガードもせず下がりっぱなしだ。おまけに出したパンチは萎縮していて伸びていない。