臆病者達のボクシング奮闘記(第一話)
 梅田の話の後、すぐに白鳥がリングに入った。

 相手は有馬と同じで山本だ。山本も小柄だが、白鳥はもっと背が低く百六十センチ位の身長である。

 白鳥はガードは固いが踏み込みは悪く、相手に近付くまでパンチを出さなかった。

 彼は梅田の罵声を浴び続けていたが、近付いてからは勇敢にパンチを打っていた。



 次は健太の番になった。相手は内海に代わった。

 健太は意外にも開き直っているようで、内海に対して積極的にパンチを出す。

 サウスポーからの左ストレートは、特に思い切りがいい。

 ただ右足が外側に開く癖はまだ直っていない為か、よくバランスを崩していた。



 最後は康平がリングに上がった。相手は健太と同様に内海である。


 ラウンド開始早々、ブロックの上からだが内海の右ストレートを浴びた。

 康平は重いというより、シビれるような衝撃を感じていた。

 この一発で康平は萎縮してしまった。

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