臆病者達のボクシング奮闘記(第一話)
 その後再開したが、康平の一度怯えてしまった心をを立て直すのは容易ではなかった。

 康平は無理矢理パンチを三発程出したが、手と足がバラバラで力みまくっていた。

 そして、内海の軽い左ジャブで再び下を向いてしまった。


「やめだヤメ! 高田は戦意喪失で失格負けだ。内海、もうリングから出ていいぞ」


 梅田は康平を怒るわけでもなく、諦めたような感じで内海に話していた。



 その後はサンドバッグ打ちになった。康平以外の三人は、梅田と飯島からアドバイスを受けていた。


 康平はやりきれない思いをサンドバッグにぶつけ、インターバルの間も全力で打っていた。


 この日の練習が終わり、梅田が全員に言った。

「石山と兵藤の試合の為、明日から俺と飯島先生は部活に来ない。……だが学校から許可をもらって、部活はやっていいことになった。俺達が帰ってくるまで、内海と山本が特別コーチだ。練習時間は今日と同じだからな」

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