臆病者達のボクシング奮闘記(第一話)
 帰り道。一年生達は一緒に駅まで歩いていた。


「明日から休みだと思ってたんだけどな……」

 ボヤく健太に有馬がつっこむ。

「なんだよ、お前本気で期待してたんか? 俺は、内海さんと山本さんが見学に来た時から怪しいと思ってたぜ」


「よく言うぜ! さっきは俺と同じ位ガッカリしてたじゃねぇか」


「ウッセーよ! 俺だってホンのちょっとは期待してたんだよ」


「話は変わっけど、俺風呂場の鏡の前で、自分の体をマジマジ見ちゃうんだよなぁ。……あれ、もしかして俺だけ?」


 康平は落ち込んでいるのがバレないように、健太の話に加わった。

「俺もよく見るよ。肩や腕に筋肉ついてきたんだよな」


「そうそう。それに、腹筋もクッキリ割れてきたしよ。……白鳥、オメェもゼッテェ見てるよな」


「お、俺は……」

 有馬に訊かれた白鳥は、恥ずかしそうな顔になった。

< 186 / 281 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop