臆病者達のボクシング奮闘記(第一話)
「皆、自分の体を見てんだからさ、恥ずかしがらずに正直に言っていいんだぜ」

 健太が白鳥に言った。


「け、結構見てるかも……」


「ハハハ! 白鳥の顔が真っ赤だぜ。男に対して恥ずかしがってっと、誤解されっぞ」


 有馬に続いて康平も言った。

「実際、白鳥の体つきが一番変わったよ。前はプヨプヨだったけど、今は少しゴツいもんな」


「男の同性愛者ってゴツいのが多いから……。白鳥も気をつけろよ」

 健太に白鳥が言い返す。

「そ、そんなんじゃねぇよ」


 この日は妙に白鳥がいじられていた。



 家に着いた康平は、夕飯を食べて風呂に入った後、鏡の前で上半身裸のままになる。

 前から見ると腹筋が割れて……というより、六つのコブが出来ていた。そして肩の部分が意外と大きい。
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