臆病者達のボクシング奮闘記(第一話)
 一年生全員は準備体操が終わり、練習を始めようとした時、山本が口を開いた。

「お前ら昨日の練習で、何をアドバイスされたか覚えてっか? 一人ずつ言ってみぃ」

 最初に健太が答えた。

「左ストレートを打ったらすぐに右フックを返す事です」


 内海が訊いた。

「その為に何を意識するんだ?」

「左ストレートを打った時、右足が外向きにならないように意識します」


「次!」山本が白鳥を見て言った。

 白鳥が答える。

「もっと離れた距離からパンチを出す事です。今回は、二発の左ジャブを打って距離を詰めるように教わりました」


「次!」

 有馬が答えた。

「左ジャブをもっと出すようにアドバイスを受けました。その時肩をもっと入れる事と、……狙わないで打て……と教わりました」

「お前、有馬だっけ? まだ理解しきれていないようだな。練習が終わった後に説明するよ。……とにかく今は、肩を入れたジャブをを意識しろ」

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