臆病者達のボクシング奮闘記(第一話)
 地味な練習ばかり続いている事。ズバ抜けて運動神経がいい方では無いので、続けていく自信がない事を話す。

 森谷と相沢は顔を見合わせたが、森谷は意外にも明るい表情で答えた。

「大丈夫だよ! 俺達も最初は同じ気持ちだったから心配すんな」

「そうそう、今週の土曜日になれば辞める気持ちなんてなくなるからさ」

「相沢が言ったように、騙されたと思って土曜日まで続けてみるんだな」

 康平と健太は意味不明のままだったが、先輩達の明るい雰囲気に妙に納得させられ、土曜日まで続けてみる事にした。



 金曜日。それまで拷問に感じられた地味な練習が続いたが、最後の柔軟体操に差し掛かると梅田が言った。

「一年にはまだ言ってなかったが、明日は練習試合があるから朝九時学校集合だ。いいな」

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