臆病者達のボクシング奮闘記(第一話)
「残念だな。今日はいねぇようだぞ」

 キョロキョロしている康平に、ポンと誰かが肩を叩いた。

 ビクッとした康平が振り返る。

「君が探している子達は、真後ろにいるんじゃないかな?」

 亜樹と綾香が笑いをこらえて立っていた。

「ヒデェな。ビックリさせんなよな」


 亜樹が笑って言った。

「そんなにビックリするなんて、何かヤマシイ事でもあるのかな」

「あ、あるわけねぇじゃん。そうだよなぁ、健太」

「俺達二人の時はヤマシイ事ばっかりだけど、……今回は無いという事にしときますか?」

 健太はわざと意味深な言い方をした。

 亜樹は話が深みにハマらないように、さりげなく話題を変えた。

「……まぁいいわ。康平は、監視役がいないと勉強しないタイプだから、今日も一緒に勉強してあげるよ」

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