臆病者達のボクシング奮闘記(第一話)
 康平が言い返す。

「悪かったな裏切り者でよ。でもいいもんだぜ。夏休み前半で宿題が殆ど終わってっとな」

「康平! 自分の力で宿題をやってたような、誤解を招く言動は控えた方がよろしくてよ」

「そうそう、亜樹がいなかったら数学の課題はまだ白紙だったぜきっと」

「お前ら俺を攻撃する時だけ、妙に連携とれてんだよな。……まぁ、宿題がここまで進んだのは亜樹さんのお蔭なんだけどよ」

 康平は照れ臭いのか、右の頬をポリポリ掻いていた。

 健太が突然話題を変える。

「そういえば康平は、亜樹にお礼がしたいからって、誕生日を知りたがってたけど……」


「えっ?」

 そんな事を言った覚えのない康平は、健太の方を振り向く。


「亜樹の誕生日は九月九日だよ」

「ちょっと綾香……」

 亜樹は綾香の袖を軽く引っ張った。

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