臆病者達のボクシング奮闘記(第一話)
 健太が偉そうにして話す。

「まぁ、プレゼントするかどうかは康平の問題だしさぁ、亜樹はもらったら素直に喜べばいいんじゃねぇの? ……あ、でも康平は女の子にプレゼントなんて初めてだから、あんまり期待しない方がいいと思うけど」

「健太はプレゼントしたことあるの?」

 綾香に訊かれて健太が答えた。だが声は小さくなっていた。

「ん? ……まぁ俺の事はまず置いといてだな」

「オメェだってねぇくせにさ、自分の事は棚に上げまくってるよ全く」

 呆れ顔で話す康平に亜樹が言った。

「康平は、部活と勉強漬けで貧乏人なんだから財布と相談して。……それと君にセンスは無いんだから、プレゼントに自信がなかったら、無理して買わなくていいんだからね」


 健太が笑いながら話す。今度は声が大きい。

「自分が貰うプレゼントでアドバイスする人って、なかなかいねぇよなぁ」

「そうね。それにケナしながら励ます人も珍しいわね」

 綾香も笑って言った。

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