臆病者達のボクシング奮闘記(第一話)
 まずは五ラウンドのシャドーボクシング。

 シャドーボクシングと言っても永山高校の一年生達は構えしか習っていないので、恥ずかしい気持ちで構えのポーズを始めた。

 康平達がチラっと早瀬工業の一年生達を見た時、彼等も構えだけで動いてはいない。

 知らない者同士なのもあってか、微かな敵愾心を発したりしながらも、二校の一年生達はホッとしながら構えだけのシャドーボクシングに集中した。


 五ラウンドのシャドーボクシングが終わり、先輩達は試合形式のスパーリングをする事になった。


 スパーリングは軽いクラスから始まった。

 最初は、ライトフライ級(四十九キロ以下)で予選に出る予定の大崎が出た。彼は二年生である。相手も二年生らしい。

 軽量級なので迫力は感じられないが、とにかく速い。そしてパンチの数が非常に多い。

 かなりの打ち合いになったが、その直後に大崎がもう一度攻めてパンチを当てるシーンが目立った。

 一年生達の目にも、先輩の優勢なのが分かった。

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