臆病者達のボクシング奮闘記(第一話)
 内海と山本が指導する練習は連日続いた。

 それというのも、石山と兵藤がインターハイ全国大会で勝ち進んでいるので、二人の先生が部活に来れないからだ。

 この日の準々決勝も二人は勝ち残ったようで、ボクシング部員達もその話題で盛り上がっていた。


 練習の終わった一年生達に、内海が話し掛ける。

「これで石山と兵藤は三位以上が確定か。……あいつらは、俺達が高校三年の時に入学してきたんだよ」


 健太が内海に訊いた。

「二人共……、いや清水先輩も含めて全員強くなりそうな感じだったんですか?」

「いや、兵藤はセンスありそうな感じだったが、清水と石山はオメェらより酷かったぜ」


 山本も口を開く。

「そうだよな。あの二人は、毎日梅ッチに悲惨な程怒鳴られてたんだよ」


「俺は兵藤以外、部員がいなくなると思ってたよ。清水と石山が初めてスパーリングしたのを見た時は爆笑だったぜ」

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