臆病者達のボクシング奮闘記(第一話)
「す、すいません」

 健太は心の中で理不尽と思いつつも素直に謝った。

 その様子を見た山本が笑いながら言った。

「たぶん俊也は、言葉で表現するのが面倒なんだぜ。……感覚で覚えているのを言葉にするって、結構難しいからよ。まだ俺達は明日も来るんだから宿題にしろよ。但し、この件を説明すんのは俊也だからな」

「あっ、ズリーぞてめぇ。そもそも言い出しっぺは賢治の方だったじゃねぇか? ……まぁいいや。明日……じゃなくて、ここにいる間に説明すっから覚悟しとけよ」


(覚悟じゃなくて期待では……)

 一年生達は全員そう思ったが、勇気を持って口に出す者は誰もいなかった。

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