臆病者達のボクシング奮闘記(第一話)
初デート
日曜日の朝四時、康平は望んでもいない時間に目を覚ます。
夏休み期間中は土曜日の練習も午後からなので、朝のジョギングは日曜日を休みと決めていた。
康平は、単に目覚ましのアラームの設定を昨日から変えていなかっただけなのだが、彼は今日、亜樹達と映画を観る約束があるせいか、再び眠れそうではなかった。
トイレに行って鏡に映った自分の顔を見た康平は、かなりムクんでいる事に気付く。昨日の夕飯で、ジュースを飲み過ぎたようだ。
康平は、ジョギングを始めて発見した事が一つある。ジョギングをして汗をかくと、顔のムクミがとれるという事だった。
彼は、顔のムクミを除く為だけに七キロもの距離を走った。最近は、朝走るのが苦痛にならないようである。
家に戻ってからも待ち合わせの午前十時までは、タップリ時間があるので、既にクリアしているゲームなどをしながら時間を潰していく。
康平と健太は九時五十分頃、待ち合わせの場所に立っていた。そこは、永山高校近くの駅である。
二人共落ち着かない様子だ。