臆病者達のボクシング奮闘記(第一話)
 長身でモデルのようにカッコいい亜樹と、ハーフのような可愛い系の綾香は、街を歩いていてもかなり目立つようである。

 映画館へ行く途中でも何人か二人を見ていた。殆どが男である。

 当の本人達は全く気にしてない様子だ。


 康平と健太は、彼女達とどの位近付いて歩けばいいか分からず、妙にそわそわしている。


 亜樹がピシャリと言った。

「君達、少しは落ち着かないと私達も恥ずかしいんだからね」

 康平と健太はションボリとして二人の後をついていった。

 ちなみに、距離感はボクシングでも勝つ為の大事な要素だ。


 映画館は大ヒット中のアニメの上映だったので非常に混雑している。


「この映画見たかったんだよな、そうだろ康平」

 少し間があるので話をしたいところだが、健太は綾香と直接話をするのがまだ苦手なようで、康平にばかり話し掛ける。

(俺にばかりフルなよ)

そう思いながら康平が返事をすると、綾香が呟く。

「あんた達って私達が入り込めない位仲がいいのね」

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