臆病者達のボクシング奮闘記(第一話)
「ところでコイツらと何かあったんか?」

「俺達は何もないッスよ。……俺達は……」

 清水が訊くと、藤枝以外の男二人は口を揃えて否定した。


「藤枝さんに、携帯ストラップを売っている所を案内して貰ったんだ」

 話がややこしくならないように亜樹が機転をきかせた。

「そ、そうですよね。……藤枝さん!」

 康平に言われて藤枝も不自然に返す。

「……あぁ、ただ、ここのストラップって、あまりいいのは置いてねぇんだけどな」

 清水が訝しげな表情をした。

「ホントかよ? ……まぁそういう事にしてやるか。……ところで、高田と亜樹ちゃんは付き合ってんのか?」


「いや、そういうわけじゃないですけど、……だ、大事な親友です」

 康平が答えた時、健太と綾香が携帯ストラップ売場に歩いてきた。

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