臆病者達のボクシング奮闘記(第一話)
 月曜日の部活。練習場へ入った一年生達に梅田が話し掛けた。

「お前ら一年は、今日から構えの練習は五ラウンドでいいぞ。その後パンチを教えてやる。今日はジャブだ。いいな?」

「はい!」

 一年生達は一際大きな声で返事をした。


 梅田の突然の一言に、康平と健太のやる気が一段と湧いた。

 感情が顔に出やすい有馬は本当に嬉しそうである。

 白鳥は分かりにくいが、急いで着替えている様子からやる気になっているらしい。


 康平達にとって長く感じられた五ラウンドが終わった。

 インターバルが終わり、梅田が口を開く。

「いいか? 構えた所から真っ直ぐ前の方の拳を突きだす。やってみろ」


 四人が思い思いにジャブを打つ。

 健太だけはサウスポーなので右ジャブだが、他の三人は左手が前なので、左ジャブを打つ。

 構えと同様に梅田の細かいチェックが入る。

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