臆病者達のボクシング奮闘記(第一話)
 清水達と別れた四人は、予定通りゲームセンターに向かった。

 亜樹と綾香、特に亜樹が浮かない顔をしている。

 事情を聞ける雰囲気でもなかったので、康平が話を切り出す。

「健太、俺達映画館で見んのは久し振りじゃねぇか?」

「あぁ、二年位映画館に入ってねぇもんな。綾香達は結構映画館に行くの?」


「え、……うん、兄貴がよく映画のチケットをくれるんだよね。ほとんどアニメだけど」

「内海さ……、俊也さんがアニメを見んのは想像出来ないもんな」

 健太に続いて康平も言った。

「亜樹もアニメは見ないイメージなんだよな」

「失礼ねぇ。私だって見るわよ。まぁ、ジャンルによるけどね。……康平が、ラブストーリーを見るより変じゃないよ」

「そんな事ねぇよ。俺達だってたまには見るよな?」

「達をつけんな達を! ただでさえ一緒のサンダルなんだからよ」


 康平がワザとらしく嘆く。

「オメェ、いつから亜樹の派閥になったんだ。健太が亜樹と一緒にいると、決まって俺が攻撃を受けるんだよな」

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