臆病者達のボクシング奮闘記(第一話)
【あぁ、何となくそんな気がしてたよ。それで綾香も浮かない顔してたんだよね】
【……その時私と付き合っていた一つ上の先輩がいたんだけど、ビンタされた藤枝があることないこと噂を流し始めたんだ。するとその先輩も私を避けるようになって、結局別れたんだよね】
【……そうなんだ】
【あ、……でもその先輩から付き合ってくれって言われて、二回デートしただけで別れたんだからね】
【それは分かったけど、……どうして急にそんな話を?】
【えーっと……! 大事な親友だからよ。今日浩司さん(清水)に康平が言ってたでしょ?】
【あ、あれは咄嗟に出た言葉で、なんて答えたらいいか分かんなくてさぁ……】
【親友だからこそ隠し事はしないようにって、今話してんの。咄嗟に出た言葉かも知れないけど、自分の言った事に責任を持ちなさいよね。『ガチャ』】
亜樹は最後、一方的に言って電話を切った。
康平は亜樹の照れ隠しのようにも思えたが確信はない。
山本の忠告通り、男女の関係はボクシングよりも難しいと思った康平であった。
【……その時私と付き合っていた一つ上の先輩がいたんだけど、ビンタされた藤枝があることないこと噂を流し始めたんだ。するとその先輩も私を避けるようになって、結局別れたんだよね】
【……そうなんだ】
【あ、……でもその先輩から付き合ってくれって言われて、二回デートしただけで別れたんだからね】
【それは分かったけど、……どうして急にそんな話を?】
【えーっと……! 大事な親友だからよ。今日浩司さん(清水)に康平が言ってたでしょ?】
【あ、あれは咄嗟に出た言葉で、なんて答えたらいいか分かんなくてさぁ……】
【親友だからこそ隠し事はしないようにって、今話してんの。咄嗟に出た言葉かも知れないけど、自分の言った事に責任を持ちなさいよね。『ガチャ』】
亜樹は最後、一方的に言って電話を切った。
康平は亜樹の照れ隠しのようにも思えたが確信はない。
山本の忠告通り、男女の関係はボクシングよりも難しいと思った康平であった。