臆病者達のボクシング奮闘記(第一話)
山本は構えないで白鳥に教えた。
「ジャブを打つ時、後ろ足で思いっきり蹴ってみろ。翔の場合、ジャブ二発を打つ時は肩の回転より後ろ足の蹴りだぞ」
内海がリングの外から言った。
「康平みたいに、少し上向きに打たせた方がいいんじゃねぇか?」
「そうだな。翔、このラウンド俺は一切パンチをださねえから、ジャブ二発だけを打ってみろ。……気を付けるのは後ろ足の蹴りとパンチは上向きに打つ。この二点だ」
白鳥は何度も打ってくうちに、つんのめるような感じは無くなっていった。
三ラウンド目、最初のラウンドと同様にスパーリング形式に戻った。
白鳥は全て空を切ってはいたが、いい感じで二発のジャブを打つようになった。
そして距離が近くなると、白鳥は思い切りのいい右ストレートと左フックを打っていた。
最後は有馬の番になった。山本が手を抜いてくれるのを分かっているからか、彼は積極的にパンチを出す。
ただ、さんざん練習した肝心の左ジャブが一発も出ない。代わりに大振りのパンチで前に突っ込んでいく。
「ジャブを打つ時、後ろ足で思いっきり蹴ってみろ。翔の場合、ジャブ二発を打つ時は肩の回転より後ろ足の蹴りだぞ」
内海がリングの外から言った。
「康平みたいに、少し上向きに打たせた方がいいんじゃねぇか?」
「そうだな。翔、このラウンド俺は一切パンチをださねえから、ジャブ二発だけを打ってみろ。……気を付けるのは後ろ足の蹴りとパンチは上向きに打つ。この二点だ」
白鳥は何度も打ってくうちに、つんのめるような感じは無くなっていった。
三ラウンド目、最初のラウンドと同様にスパーリング形式に戻った。
白鳥は全て空を切ってはいたが、いい感じで二発のジャブを打つようになった。
そして距離が近くなると、白鳥は思い切りのいい右ストレートと左フックを打っていた。
最後は有馬の番になった。山本が手を抜いてくれるのを分かっているからか、彼は積極的にパンチを出す。
ただ、さんざん練習した肝心の左ジャブが一発も出ない。代わりに大振りのパンチで前に突っ込んでいく。