臆病者達のボクシング奮闘記(第一話)
 翌日一年生達は、後ろの手で打つストレートを習う事になった。教える前に梅田が説明した。

「いいか、これからストレートを教えるぞ。最初に後ろ足を回す。次に肩を回す。最後に腕が伸びる感じだ。それを流れるようにやってみろ」

 康平達はそれぞれストレートを打つ。

 昨日のように梅田は上級生の指導が忙しいらしく、ポイントをだけを付け加えた。

「前足は少し内側に曲げたまま動かさないで打て。パンチは打ったらすぐに戻す。重心は六対四から七対三へ移る。ストレートだけを四ラウンドやる。いいな!」


 ストレートだけの四ラウンドが終わり、一年生達は筋トレに移った。

 それも終わりに近付いた頃、梅田が四人に言った。

「お前ら筋トレが終わったら、すぐにシャドー(ボクシング)をゆっくりやれ」

「はい」

 一年生達は理解出来ないまま、習った左右のストレートをゆっくりと打っていった。

 梅田が補足する。

「いいか。パンチを打つ時の使う筋肉を意識しろ。筋トレで鍛えた筋肉を、パンチ用に切り替える為のトレーニングだ。分かったな」

 康平達は、少し納得できた表情でパンチをゆっくり打ち始めた。

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