臆病者達のボクシング奮闘記(第一話)
「はい、知っている奴です」

 健太が答える。

「中学の時からボクシングをやってたのか?」

「中学の時は野球をしていたんですが、ボクシングをしていたかは知らないです」

 今度は飯島が訊き、康平が答えた。


「分かった。もう帰っていいぞ! ……それと言い忘れた事があってな。もうすぐ中間テストだが、ボクシング部だけはテスト休みが無いから今から勉強しておけよ」

「し、失礼します!」

 飯島の話に、康平と健太は強烈なダメージを食らってしまった。


 裕也が試合に出る事にも驚いた康平と健太だったが、テスト休みがない事は我が身に降りかかる大事件だった。

 本来、全ての部活にテスト休みがあり、その期間部活動をしてはいけない規則だったが、梅田の選手達に対する思いやり(?)から、熱心に校長を説得して特別に許されていた。

 学校側でも、毎年インターハイ全国大会に出ているボクシング部は特に優遇しているようである。

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