臆病者達のボクシング奮闘記(第一話)
 家に帰った健太は、昼御飯の後、バッグに勉強道具を入れて康平の家に向かった。

 勉強したのは最初の三十分だけだった。二人は、息抜きの為に始めたゲームにハマってしまった。結局、夜の九時までゲームは続いた。



 翌日二人は、昨日勉強できなかった分を取り戻そうと、朝から近くの図書館へ行った。

 図書館にはゲームが無い為、二人は集中して勉強していた。


 昼過ぎから坂田裕也と鳴海那奈が図書館に来た。

 二人は驚き、裕也が口を開く。

「お前ら、ここで何してんだ?」

「どういう風の吹き回しかな?」

 そして那奈がクスリと笑った。


「べ、勉強に決まってんだろ」

「い、家で勉強やってもはかどんねぇんだよ」

 康平と健太は慌てて言い返す。

 すると那奈が決め付けるように言った。

「あんた達は家で勉強しても、マンガとゲームに逃避しちゃうタイプだもんね」

 康平と健太は返す言葉が無く無言になった。


 裕也が二人に訊いた。

「今から勉強するって事は、お前らの高校は中間テストが近いのか? もしそうだとしたら早過ぎるよな」

「まだ二週間以上あるよ」康平が答える。

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