臆病者達のボクシング奮闘記(第一話)
「試合は、ライトウェルター級で出るんだよね」康平が言った。

「今体重が六十一キロちょっとだからライト級(六十キロ以下)でもいいんだけど、ライト級には先輩がいるしね」

「ライトウェルター級っていったらうちの兵藤先輩か」

 裕也は健太の方を見てニコリと笑った。

「兵藤さんの事は、話さなくていいよ。お前らにスパイみたいな事はさせたくないしな」


 ずっと黙っていた那奈が話に割り込んだ。

「はい、ここで雑談終了。私達もテスト休みが無いんだから勉強しないとね!」


 青葉台高校ボクシング部もテスト休みは無いらしい。

 四人は雑談という誘惑を断ち切る為に、それぞれ離れて勉強を始めた。

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