臆病者達のボクシング奮闘記(第一話)
 永山高校には食堂があり、そこは結構広い。その空間には売店があってパン等や文房具等を売っている。

 昼休みの売店は大忙しだ。昼前に弁当をとっくに消化している育ち盛りの高校生達が多く、足りない分はパンを買って飢えを充たしている。

 また、食堂は運動部の部室に近く、パンを買って各々の部室で食べている者も多い。


 健太は学校へ遅刻しそうになり、朝食を抜いた日があった。

 弁当は二時間目を過ぎたあたりで食べてしまっていた。放課後の部活に備える為に昼休みに売店でパンを買った時、怖そうな先輩達とすれ違った。

 そそくさと下を向いて横切ろうとした時、いきなり健太の腕を掴む者がいた。

「アホ、挨拶なしに通り過ぎる事はネェだろ」

 ボクシング部三年の清水だった。

「あ、こんちはッス!」

 健太は慌てて挨拶をした。


「清水、お前がオッカねぇから避けられたんじゃねぇの?」

 清水は他のもっと怖そうな先輩達からカラカワれていたが、結構ユニークな先輩である。

< 40 / 281 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop