臆病者達のボクシング奮闘記(第一話)
 放課後の練習。インターハイ県予選を間近に控え、先輩達は最後の段階である。

 試合に出す技を確認する者。試合の前に少しでも食べられるようにと、サウナスーツを着て縄跳びのラウンドを増やしている者。

 各々試合に向けて最後の調整に入っている。


 一年生達は誰も試合に出ないので、いつもと同じ練習をしていた。

 四人はそれぞれ修正する所を指摘されるが、最近は指摘される内容が安定している。

 康平はもっと前足に重心をかけて六対四のバランスを安定させる事。

 健太はもっと左肘を絞り、左ストレートを打った時に右足が開かない事。

 有馬は、もっと肩の回転を使って左ジャブを打つ事。


 白鳥にも梅田から罵声に近い指摘がされる。

「白鳥、何度言ったら分かるんだ。お前は左足をもっと曲げろ」

 白鳥が修正しなければいけない所は、伸び気味の左足をもっと曲げる事だ。

 運動神経が良いとは言えない白鳥だったので、口で指示されてもなかなか直らない。

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