臆病者達のボクシング奮闘記(第一話)
 バンタム級(五十六キロ以下)で出場している相沢の相手は、今年春の選抜で全国三位になっている青葉台高校の選手である。

 試合が終わった石山も加わって懸命に応援したが、地力の差が出て三ラウンド目に連打を浴び、RSCで負けてしまった。


 その後、清水・兵藤の二人は勝ち残り、決勝戦に駒を進めていた。


 康平と健太は坂田裕也の事が気になった。ライトウェルター級(六十四キロ以下)のトーナメント表を見た時、彼は準決勝に勝ち残っていた。


 康平と健太は、こっそり裕也の試合を見に行った。裕也の爽やかな人柄を知ってる二人にとっては、信じられない程荒々しい戦い振りだった。

 ガンガン前に出ながら、とに角打ち合う。そして、思い切った右パンチを振るっていた。

 二ラウンド目、今までずっと空振りしていた右の強振が相手の顔面を捉える。

 すると今まで元気だった相手の足許がふらつき、そこで裕也のストップ勝ちとなった。

 康平と健太は呆気にとられていたが、森谷の試合が次にあるので急いで戻っていった。

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