臆病者達のボクシング奮闘記(第一話)
 バンタム級の試合が終わり、次のライト級(六十キロ以下)は清水が出場した。

 相手は青葉台高校の三年生で、去年の新人戦でも決勝で戦った宿敵である。ちなみにその時は、青葉台の選手が僅差の判定で勝っていた。

 去年の雪辱を果たそうと、清水が早いテンポで攻撃を仕掛けていく。

 彼の左ジャブがよく伸び、その後に続く右ストレートと左フックが度々相手の顔面を捕らえた。

 一年生達はこのままいけば勝てると思ったが、なぜか二ラウンド終盤からペースが落ちていた。

 息はキレていないが右のパンチが一向に出ない。


 三ラウンド目になると相手が打ちまくる展開になり、判定で負けてしまった。


 試合後のドクターチェックで、清水は右拳を骨折していた。

 彼は右拳を氷嚢で冷やしながら応援に参加しようとした。しかし梅田が説得をし、応援に来ていた両親に連れられて病院へ向かっていった。

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