臆病者達のボクシング奮闘記(第一話)
 大会が終わった翌日、学校は代休で部活も休みである。


 康平は不安な気持ちになっていた。

 裕也のように、勇気をもって戦える自信はない。

 そして、黒木琢磨のように上手くなる自信はもっとない。


 気分転換でもしようとしたが、暗い気持ちだったせいか何も思い付かなかった。

 ボクシング部にはテスト休みが無い事もあり、仕方なく期末テストに向けて勉強する事にした。

 近所の図書館が休みだったので、永山高校の近くにある図書館へ向かった。


 図書館に着いた康平は、まず前回のテストで悪かった数学に取り掛かる。彼は元々数学が苦手だった。

 気分が乗らない時に、苦手教科に取り組むのは自殺行為である。

 勉強を始めて二十分が経過すると、彼の思考回路が停止した。

 勉強が全く進まなくなり、康平は図書館の中を散歩する。

 彼は歴史のマンガ本が置いてある棚を見つけた。自然に手が延び、その場で立ち読みになった。

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