臆病者達のボクシング奮闘記(第一話)
 翌日の放課後、康平と健太は一緒にボクシング部の練習場へ向かった。

 クラスが違う二人だが、どちらも一人で練習に行くのが嫌で、お互いの教室に行く途中でばったり会ったのだ。

 健太が口を開く。

「クラスの奴から聞いたけど、ボクシング部の部紹介は毎年あのやり方でするらしいぞ」

「……とすると、あの女の子達に釣られたのは俺達含めて四人か?」

「他はともかく、最低俺達二人は釣られた訳だ」

「ところで健太、ずっとボクシング続ける気か?」

「俺もお前もそんなに根性あるわけねぇから、勝手にリタイアするかもよ」

 二人が話をしているうちに、ボクシング場に着いた。

 康平と健太は大きく息を吸って扉を開き、叫びながら深々と頭を下げる。

「お願いします!」


 二人に竹刀を持った梅田が近寄る。

「よーし、お前らも早く着替えて準備運動しろ」

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