臆病者達のボクシング奮闘記(第一話)
 康平達は、次の日も梅田から集中的にコーチを受けた。

 この日一年生達は、初めてディフェンスを習った。

 それはブロッキングだ。文字通り、相手のパンチをブロックして防ぐ防御である。


 一見地味なディフェンスで簡単なようだが、梅田からの注文は多い。

「ただガードを上げるのはブロックじゃねぇんだよ」

「手首をグッと曲げて拳を額につけろ。そうすれば顔に衝撃が来ないぞ」

「ブロックする時は、もっと首を引っ込めろ! 打たれる面を小さくするんだ」


 その後ミット打ちが始まった。今回は康平からである。

 昨日の空振りミットに加え、梅田がミットで康平にパンチを打った。

 しかしパンチと呼べる程のスピードはなく、康平が反応出来るようにユックリと打つ。

 ただ梅田は、押すように打つので、雑なブロックをした康平はガードが壊されてしまっていた。
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