臆病者達のボクシング奮闘記(第一話)
 更に四ラウンドが経過し、白鳥が康平と交代しに来た。

 白鳥は何も言わないが、元々赤い顔が更に赤くなって息を切らしている。大変そうなのが康平にも分かった。

 康平も腹を括って第二体育館へ向かった。

 彼がそこに着くと、すぐに健太からストップウォッチを渡された。

 体育館にはボクシング用のタイマーが無いので、康平がシャドーボクシングをしながらタイムキーパーも兼用するという事だった。

 休憩時間の一分が過ぎ、康平はブザーの変わりに声を出す。

「はじめ!」


 康平は、シャドーボクシングをしながら健太の様子を見た。

 昨日と同じようなミットだが、梅田がすぐにミットで構える為、健太は早いテンポでパンチを出す。

 昨日の倍位のパンチを出していた。

 また、ブロックさせる為にミットで打つ梅田のパンチが速くなっていた。

 そしてブロックが雑だったり、パンチを打つ反応が鈍い時は、梅田のミット攻撃が容赦なく健太の頭を襲った。


 スパーン!

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