臆病者達のボクシング奮闘記(第一話)
「教わった通りにブロックするんだよ」

 スパーン!

「ぼーっとしてんじゃねぇ!」

 ミットの快音と梅田の罵声が体育館中に響き渡る。


 健太のミット打ちが終わり、康平の番になる。彼もまた、梅田のミット攻撃と罵声にまみれた四ラウンドとなった。


 この日、ボクシング部の一年生達は、女子と同じ空間で練習出来る悦びを味わうどころか、ミットで散々頭を叩かれ、罵声を浴び続ける恥ずかしい練習となった。

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