臆病者達のボクシング奮闘記(第一話)
 ジョギングを始めた康平だったが、まだ毎日やるとは決心していない。

 但しルールは二つ決めていた。

 目覚ましのアラームを二回セットし、一回目のアラーム(五時)で起きれば走る。

 雨の日は、走らない。


 夜遅くまで起きていた日でも、他の一年生達も走っていると思ったからであろうか、康平は不思議と五時には目を覚ました。

 梅雨全線も今年は横着しているのか、雨がなかなか降らず晴天が続いた。

 康平は連日走ることになった。

 十日程ジョギングは続いたが、さすがに康平も疲れを感じていた。


 金曜日の六時間目、数学担当の教師が休みの為、代わりに梅田が授業をする事になった。

 康平は、いつも以上に真剣に授業を聴いていた。

 梅田が普通の格好で、部活の時より優しく教える事。

 苦手な数学である事。

 ジョギングの疲れが溜まっている事。

 彼は色んな要素が絡み合い、ついウトウト眠ってしまった。

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